マルチモーダルAIを用いた腎細胞癌術後のeGFR状態予測
従来の画像診断AIモデルでは、画像や臨床情報などの単一データを用いて予測を行うシングルモーダルAIが主流である。しかし、医師が画像や臨床情報などの複数の情報を統合して診断を行うように、AIでも複数の情報を統合して解析可能なマルチモーダルAIが近年注目されている。腎機能の低下は、摘出術後の最も一般的な合併症の1つである。術後の腎機能の悪化を事前に予測出来る事は、患者の意思決定において重要な役割を果たす。本研究の目的は、CT画像、臨床情報、Radiomics特徴量を用いたマルチモーダルAIによる術後の腎機能低下の予測と腎機能低下の予測に最も寄与する因子を特定することである。DOI: https://doi.org/10.1007/s10278-024-01180-0
Jigsaw puzzleタスクを用いた乳癌画像診断AI
従来の転移学習された医療AIモデルでは、「大域的な情報」の活用が難しく、「局所的な情報」に偏った予測をすることが指摘されています。しかし、マンモグラフィを用いた乳癌の診断では、放射線科医は「病変自体の特徴」だけでなく「周囲の乳腺構造に基づく病変の特徴」の両方を総合的に評価します。本研究では、Jigsaw puzzleタスクによる自己教師あり学習を用いて、AIモデルに放射線科医の視点を反映させ、乳癌画像分類の性能を向上させることを目的としています。DOI: https://doi.org/10.1007/s12194-024-00874-y
画像とテキストによるマルチモーダル乳癌画像診断AI
近年では、異なる種類のデータから AI を学習させるマルチモーダル事前学習手法が注目されており、その中でも画像とテキストによって事前学習を行う Contrastive Language-Image Pre-training (CLIP) は画像分類において高い精度を誇ると報告されています。本研究では、マンモグラフィ画像に加え、放射線科医の読影によって得られた画像所見情報と診断を含むテキストをCLIPに学習させており、複数の情報を組み合わせることによってさらなる診断精度の向上を目指しています。
放射線科医の診断方法を模倣した乳癌画像診断AI
近年、乳癌画像診断への人工知能(AI)応用が進み、高い診断能が示される一方で限界も指摘されています。その一因として、石灰化や腫瘤といった異なる所見を一律に「乳癌」という正解ラベルで学習していることが考えられます。本研究では、所見ごとに異なる診断基準を用いる放射線科医の診断方法を模倣し、石灰化に特化したモデルと腫瘤に特化したモデルを組み合わせた新たなAIモデルを構築しました。このアプローチにより、乳癌診断の精度向上を目指しています。